お口の中の症状 Q&A
歯磨き・ケアについて
- 小学生、中学生にあった歯ブラシについて知りたいのですが、どのような基準で選んだらよいのでしょうか
- A:現在、小児、若年向けの歯ブラシは多くの種類が発売されています。一般的には歯ブラシの毛の長さは下の前歯3~4本分で、歯ブラシの頭部は小さめで、柄は児童の手の大ささにあったものがよいと考えられます。また小学校低学年では歯の位置を捉えやすくするため毛の長さは短めがよいでしょう。また、保護者の方がブラッシング出来ているか確認することも必要でしょう。中学年では歯の舌側や小臼歯をきれいにみがくことも目標となりますので、特に毛先の長さに注意して選んで下さい。また毛の硬さは毛先磨き、描円法等を行うのであれば「普通」のものがよいでしょう。ブランドによって表示の硬さが違うものもありますので、歯列矯正用や、重症の歯周疾患の児童生徒用も含めて、歯科医にご相談なさるとよいと思います。
- 小学生にとって有効なブラッシング法にはどんなものがありますか
- A:小学生にとっては比較的容易でプラーク除去効果の高い描円法(フォーンズ法),スクラッビング法が有効と考えられます。描円法は上下のあごを軽く閉じ.歯面に歯ブラシを直角にあて,小さな正円を描くようにします。スクラッビング法は歯面に歯ブラシを直角にあて,10mm程度の幅で小さく前後に動かします。いずれも使用する歯ブラシは頭部の小さな歯ブラシを使いましょう。小学生は乳歯から永久歯への交換期にあたり,特に第1大臼歯は第2乳臼歯よりも低い位置に顔を出すので,横からブラシを入れ,かき出すように注意してブラッシングをするとよいと思います。高学年になると歯肉炎のみられる児童もいるのでローリング法やバス法を併用する必要もあります。小学生はブラッシングを自立的に行い,習慣化するのに大事な時期であると言えます。
- 歯磨剤の使いかたについて教えて下さい
- A:歯磨剤は研磨剤 湿潤剤、発泡剤等を含み,医薬品,医薬部外品.化粧品に分類されますが.大部分が医薬部外品です。医薬品が添加されたものでも、その効能に頼ることは無理があり,ブラッシングの補助として考えるべきだと思います。多量に使用しますと、とくに児童等では口の中が泡で一杯になり,十分なブラッシングが行なえないこともあります。また洗面所でなければブラッシングできないということにもなります。従って使用する場合は仕上げ磨きの段階で少量使う方が無難かもしれません。またノンフォーム(泡のあまり立たないもの)の歯磨剤もあります。
- デンクルフロスの使用について教えて下さい
- A:歯と歯の間のプラークはなかなか歯プラシだけではとりにくいものです。歯と歯が重なりあっているような歯列不正があればなおさらです。その点デンタルフロスはブラッシングと併用することにより歯間隣接面のプラークを約90%位落とす効果があるといわれています。しかし正しい使用法を身につけないと歯肉粘膜を傷つけることもあるので専門の指導を受けて使った方がよいと思われます。
- 乳歯のむし歯は放っておいては、いけないのでしょうか
- A:乳歯は、乳幼児、児童、生徒の成長において栄養の補給、言語の修得など大切な役割をはたしています。あとから永久歯が生えてくるからといって軽視することは禁物です。むし歯を放置すると炎症が永久歯に影響を与えることもあります。乳歯でよく噛むことにより、永久歯がきれいに並ぶように顎を成長させる役目もはたしています。ところがむし歯になってよく噛めない状態が長期にわたると顎が十分発育しません。また、むし歯で歯が大きく破壊されると、奥の歯が前の方にずれて、本来その場所に生えてくる永久歯のためのスペースが失われてしまいます。結果として永久歯の歯並びがくずれ乱ぐい状態になる場合も多くみられます。乳歯のむし歯は、子どもの年齢によって治療が困難な場合もあるので、定期健診により早期発見、早期治療に心がけると共に、家庭における食生活に気をつけて予防することが大切です。
- 甘いものが歯によくないと言われていますが、子どもの歯みがさ剤が甘いのは歯に悪くはないのでしょうか
- A:甘いものが歯に悪いというのは、砂糖の入ったものを、むやみに食べることによって、むし歯になりやすいので注意してほしいということです。子どもの歯みがき剤が甘いのはサッカリンナトリウムやソルビトールなどの人工甘味料が含まれているためです。これらの甘味料は低う蝕性甘味料なのでむし歯には結びつかないと考えられます。
- 歯ブラシの保存管理について教えて下さい
- A:通常は歯ブラシを強めの流水でよく洗い、水分を除き、風通しがよく、日当たりのよい場所に保管することをすすめます。なお乾燥を十分行った上、殺菌灯を用いた保管庫に収納することは、さらに効果があるでしょう。
- 電動歯ブラシについて教えて下さい
- A:最近、多種の電動歯ブラシが市販されるようになりましたが、その利点と欠点を挙げてみましょう。
電動歯ブラシの利点としては、
- 細かい手の動きを必要としないので手用歯ブラシより簡単に使える。
- 一定の回転数、振動数があり、運動が比較的安定していて、手用歯ブラシより短時間に歯みがき効果があげられる。
電動歯ブラシの欠点としては、
- 電動歯ブラシの動きが画一的すぎて、歯みがき本来の基本的動作が行われにくい。
- 個人の歯列や歯垢付着郡位が異なっているため、みがこうとする歯面に歯ブラシの毛先を正確にあてることが困難である。
- 歯ブラシ本体が高価で電源が必要である。
- 手用歯ブラシに比べて回転数や振動数が多く、不快感(しびれたような感覚)があったり、使い方によっては歯や歯肉を傷つけることがある。
このようなことから、身体障害者や肢体不自由者など手の運動が制限されて自由に動かすことのでさない人や手用歯ブラシで効果的に歯みがきのできない人には有効であると考えられます。-般には手用歯ブラシの方が自分でコントロールすることができて、清掃効果も高いのではないでしょうか。
- 子どもか歯みがき剤をつけて、みがきたかるのですが、飲み込んでも大丈夫でしょうか
- A:歯みがき剤の中には、研磨剤、湿潤剤、発泡剤、香味剤などが含まれていますが、通常の使用量を放み込んでも毒性に関しては問題はないでしょう。ただし、少しでも歯みがき剤の安全性に疑問を持つならば無理に使用する必要はありません。歯みがきをすることの主体は歯ブラシの動かし方であって、歯みがき剤は補助的なものと考えて下さい。
- 歯石はブラッシングでとれますか。
- A:歯石とは、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)に無機塩類(主にリン酸カルシウム)が沈着してできた固い物質のことです。これは強固に歯面に沈着しているため、ブラッシングで除去することはできません。しかしながら、プラークへの無機塩類の沈着は徐々に進行しますので、プラークを完全に除去できるようなブラッシングをマスターすることにより歯石の沈着は防げます。すでに歯石が沈着している場合には、歯科医院において除去することが必要です。
- 舌のブラッシングは有効ですか?
- A:口を開けて舌の表面を見ると、白い苔のようなものが着いていることがあります。これを舌苔(ぜったい)といいます。舌苔にはプラーク(歯垢)と同様に多量の細菌や、それらの細菌によって分解、腐敗された物質などが含まれています。そのため舌苔は、歯周病と共に口臭の2大原因の1つと言われています。ですから舌をブラッシングすることは、口臭の予防に役立つ訳です。
舌のブラッシングには、普通の歯ブラシを用いてもよろしいですし、舌ブラシや舌ヘラと呼ばれる器具なども用いてもよろしいと思います。使い方は、歯や歯肉のブラッシングをした後にこれらの器具を舌にあてて、軽い力で10回ほど掻き出すようにします。この時、強くあててしまうと舌の表面が荒れてしまい、かえって舌苔が付きやすくなってしまうこともあるので、十分注意して下さい。他の方法としては、柔らかいガーゼやタオルを指に巻いて拭ったり、口に水を含み舌の表面を上あごに摺り合わせるのも有効です。
睡眠中の口の中は、唾液の分泌量が少なくなり、細菌が増殖しやすい状態になっています。起床時に口臭が強くなるのは、そのためです。ですから、舌のブラッシングを行うタイミングとしては、就寝前と起床時が効果的です。
治療について
- Q:歯列の矯正治療は何才まで可能ですか
- A:通常、不正咬合の矯正治療は、小中学生の頃に受けるのがよいとされてきました。成長期にある小中学生は、大人と比較して歯の移動やあごの骨格の整形がしやすく、また社会的にも矯正装置に順応しやすい時期だからです。一方、成人に対しての歯の移動は技術的には可能ですが、すでに骨格の成長は完了しているため矯正治療のできる範囲は限定されてきます。歯周病やむし歯に対する対策も若年者より配慮が必要です。また、社会的にも矯正装置が不利になる場合もあります。しかし、咬合の異常や審美性の回復のために、歯列の矯正を希望される大人の方が増えてきています。大人の場合では、矯正治療の可能な範囲を理解し、受診することが重要です。
- Q:まだ生えてきていない智歯(親知らず)があって、痛みがあります。歯肉を切って、抜歯したほうがよいのでしょうか
- A:親知らず(第3大臼歯、智歯)は20歳前後で萌出してきます。この時期ではあごの成長はほぼ完了しており、歯の萌出に伴うあごの骨の成長は期待できません。歯列の奥の狭い所に萌出してくる親知らずは、歯肉の炎症(智歯周囲炎)を起こしやすくなります。歯の萌出に伴って歯肉が押し上げられ、対咬歯が食い込んで痛みを生じることもあります。特に下あごの親知らずは傾斜したり、横になったりして正しい咬み合わせができなくなる場合があります。このような場合歯の一部が露出したままの半埋伏状態や、完全に埋伏した状態となり、隣の第二大臼歯との間に深い溝が生じることになります。この溝には食べかすがたまりやすく、また清掃しにくいことからむし歯や歯ぐきの炎症が起こる場合があります。歯ぐきの炎症が広がると口が開かなくなったり、痛くて咬み合わせができなくなります。局所洗浄と抗生物質の服用によって一時的に炎症症状が軽減したら、原因となった親知らずを抜歯することをお勧めします。
- Q:サホライドのう蝕に対する効果について教えて下さい
- A:サホライドとは、フッ化ジアミン銀のことで、乳歯う蝕の進行抑制や二次う蝕の抑制、象牙質知覚過敏症の抑制などの治療に使用します。ここでは特に乳歯う蝕の進行抑制の臨床的な効果について説明します。サホライドを2~7日間隔で3回位塗布することにより、初期う蝕の進行を抑制する効果が認められます。特に乳前歯では、う蝕部が黒色化し目立つという欠点はありますが、ブラッシング指導を平行して行う事により、歯垢の付着が減少し、かなり高い効果が得られます。しかし歯質の実質欠損が大きい部位や、乳臼歯の咬合面など解剖学的形態から食物残渣が停滞しやすい部位の効果は低いので、充填や歯冠修復処置を行った方が良いでしょう。サホライドはあくまでも、う蝕の進行を抑制するものであって、停阻止するものではありません。塗布後もブラッシングを丁寧に行い、定期的な健診が必要でしょう。
- Q:「歯を白くする」という歯磨剤を使用しましたが、白くなるのはエナメル質か削られているのでしょうか
- A:従来の歯を白くするという歯磨剤は研磨剤の粒子の大きさや量を増やすことによって研磨性能を高めたもので、頻回に使用することはエナメル質表面の損耗に影響を与えます。最近ハイドロキシアバタイトというエナメル質の成分と同質のものを含む歯磨剤が話題となっています。これは歯の表面ににあるミクロン単位の傷や亀裂のためにプラークが落ちにくくなっているのを防ぎ、また歯面の白濁等の初期う蝕病巣の再石灰化を促進しようとするものです。これら歯磨剤については実験的にはエナメル質に対して、一般の歯磨剤より摩耗性が高いという結果は出ていないようです。どの歯磨剤についても言えることですが、歯肉が退縮して歯根の一部が露出している歯に対しては歯磨剤は慎重に使用する必要があると考えます。また変色した歯や歯質の元々の色を白くすることはできませんので歯の漂白法やその他の方法を歯科医に相談なさるとよいと思います。
- Q:完全脱臼歯(抜けてしまった歯)の再植について教えて下さい
- A:完全脱臼歯を再植し,長期にわたって使えるようにすることは,むずかしい事です。再植が成功する場合は,脱臼してから再植するまでの時間が短く,清潔に保存され,かつ乾燥していないことなどが,挙げられています。つまり,脱落したら早急に歯科医院へ来院し,脱落歯は生理的食塩水又は水の中か,水でぬらしたガーゼでくるむことが必要です。
- Q:矯正治療を始める時期・期間・費用は
- A:歯列不正にはl~2本の歯だけが不正状態にある単純なものから、多数の歯や骨格が不正状態にある複雑なものまで多岐にわたっています。そのため矯正治療を始める時期や期間を一概に決めることはきわめて困難です。また,子どもの成長や矯正治療に対する理解も考慮する必要があります。また矯正治療にかかる費用は一部をのぞいて健康保険が適用されませんから,事前に歯科医と十分相談して下さい。
- Q:矯正治療の必要性について
- A:歯列不正には,よく噛めないという機能的な問題と,歯列が乱れていることを気にして消極的になってしまうという心理的な問題があります。矯正治療によって歯列を正しくすると,噛み合せが良くなり,口唇や舌も正しい活動ができるようになります。また,自浄作用を回復してむし歯や歯周病になりにくくなります。回復された口もとの美しさと,正しい発音は,歯列不正による心理的な影響を軽減します。
- Q:フィッシャーシーラント(予防填塞)について教えて下さい
- A:むし歯ができやすい奥歯の咬み合わせの面の溝を、接着牲のあるプラスチックなどで一時的に閉鎖して、むし歯になりやすい口の環境からしゃ断することにより、むし歯を抑制する方法です。特にむし歯になりやすい萌出後間もない奥歯に有効です。そして予防填塞後も歯みがきや食生活に気を配り、定期的に健診を受けることも必要です。
- Q:歯周病の治療法について教えて下さい。
- A:歯周病の治療の基本はプラーク(歯肉縁上プラークと縁下プラーク)を患者さんと歯科医師が協力して取り除くことです。まず歯肉炎、歯周炎の原因であるプラーク(歯肉縁上プラーク)を患者さんが自分自身で十分に取り除くための口腔清掃の方法を身につけることが重要です。歯ブラシによるプラークコントロールが基本になります。さらにデンタルフロス、歯間ブラシ等の補助的清掃器具を使用することも大切です。これで歯肉の炎症を改善し、歯肉の健康の回復をはかります。さらにプラークを取り除きにくくするものを除去したり、改善したりします。
具体的には歯石の除去、適合が悪く清掃しにくい冠の修正、口呼吸の改善、歯列不正の改善などがあります。つぎに歯周ポケットが深い場合、歯周外科手術などを行い、歯肉縁下プラークの除去、ポケットの改善が必要なこともあります。 - Q:フッ素塗布の方法、効果などについて教えてください。
- A:フッ化物によるむし歯予防には、フッ化物歯面塗布法、フッ化物洗口法、フッ化物配合歯磨剤があります。フッ素は歯のエナメル質の無機質と反応してむし歯に対し強い結晶構造をつくります。また、フッ索は初期のむし歯のエナメル質と反応して再石灰化を促し、むし歯の進行を抑制します。さらに口腔内の細菌の活動を低下させてむし歯を抑制します。
- Q:フッ化物歯面塗布法、洗口法について教えて下さい。
- A:フッ化物歯面塗布法、洗口法はフッ化物応用の中でも局所応用法に分類されます。
フッ化物歯面塗布法は、専門家によりフッ素を歯に塗る方法です。乳歯の前歯が生える1歳頃から始められ、半年に1度ごとに継続して行うことが大切です。塗布のしかたは歯の表面をきれいにした後でフッ素を塗ります。
方法としては- 綿球で塗る方法
- トレーを使う方法
- イオン導入する方法
- 歯プラジで塗る方法
などがあります。塗った後、30分間はうがいや飲食を避けます。
フッ化物洗口法はうがいが上手にできる4歳頃から永久歯がそろう中学生頃まで行うと効果的です。洗口回数はうがい液のフッ素濃度によって決定されます。洗口のやり方はうかい液7~10mlを口に含み、液が歯によく行き渡るように30秒~1分間ブクプクうがいをします。フッ素うがいの後、30分間はうがいや飲食を避けます。 - Q:幼児へのフッ素塗布について教えて下さい。
- A:むし歯になりにくい歯をつくる(歯質強化)ためにフッ素の利用があります。現在の日本において、その利用法はフッ素塗布、フッ素洗口、フッ素配合歯磨剤の3つの方法があげられます。その中でフッ素塗布は、乳児から始められる方法で歯科医師などの専門家によりフッ素を塗る方法です。今ではフッ素のペーストを歯ブラシを使って塗る方法が増えています。3ヶ月に1回の間隔で塗布を継続して行うことが大切です。フッ素利用によるむし歯予防は厚生労働省やWHOなどいろいろな保健機関から推薦されている安全な方法といえるでしょう。ただし、フッ素を塗っているからといって安心してしまい、日常生活の中で歯みがきをさぼったり、甘いものをいつも食べたりしていればあっという間にむし歯が発生してしまいます。フッ素利用による歯質強化はあくまでもむし歯予防の一つという認識が大切です。
- Q:フッ素塗布によって引き起こされる問題はありますか。
- A:現在、一般的に行われているむし歯予防のためのフッ索塗布は、その安全性が確立されており、副作用の問題などはほとんどないとされています。
生活習慣について
- Q:肥満と咀嚼は関係があるのでしょうか。何らかの関係があるのでしたら、教えて下さい
- A:学童期の肥満はここ20年の間に2~3倍に増加しています。また小児期の肥満の約8割は成人になっても肥満になるという結果が出ています。肥満症のひとは早食いで、ほとんど噛んでいないといわれますが、これは咀嚼する回数が少ないため、十分に満腹感が得られず過食になる結果であると考えられます。食行動の調節は脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢により行われています。食物を噛んだときのかみごたえは歯根膜や咬筋等 の受容器から咀嚼をつかさどる脳の中枢に信号として伝えられます。このとき神経ヒスタミンがこの咀嚼運動に関与しますが、神経ヒスタミンはまた満腹中枢に作用して満腹感を起こさせる満腹物質でもあります。したがって栄養価によってではなく、咀嚼することによって初めて満腹中枢のヒスタミンが分泌され、満腹感を得るわけです。肥満は高血圧症や糖尿病、高脂血症などを併発しやすいので、規則正しい食事時間を守るとともに、よく噛んで食べることにより、過度の肥満を予防することが重要です。
- Q:初期のむし歯について、家庭ではどのようなことに注意したらいいのでしょうか
- A:家庭での注意事項ですが、すでにむし歯になりかけている状態ですので、まずは歯科医にご相談なさることをおすすめ致します。そして家庭でするべきことは、食後のブラッシング、食事指導(間食の間隔、粘性食品、清涼飲料水等に気をつける)などがあると思います。また歯科医院での予防処置としては、予防充填(シーラント)、フッ素塗布などがあります。初期のむし歯ということで気をゆるめないことが必要です。
- Q:乳歯から永久歯に生えかわる時期、歯ならぴを良くするために気を付けなければならないことはありますか
- A:乳歯から永久歯に生えかわる時期にまず注意しなくてはいけないことは、乳歯にむし歯があるかどうか(むし歯により歯の幅が小さくなっている場合があります)、そして永久歯交換時期なのに乳歯が残っている場合、乳歯が残ったまますでに永久歯が前、後、横から生えてきている場合、又は、反対に早く乳歯が抜けてしまった場合などの原因により、歯ならびが悪くなるおそれがありますので、お口の中を注意して見ていく必要があります。
- Q:歯ぎしりによる歯の健康への害は大きいのでしょうか。また、器具を用いての治療は必要でしょうか。
- A:精神的なストレスが睡眠中に高まると歯ぎしりがおこると言われています。
歯ぎしりの行われている時には、咀しゃく筋が日常噛んで食事をしている時より、ずっと大きく収縮して強い力を出します。このため長期にわたって歯ぎしりが続くと上下の歯がすりへって平らになってきます。また異常に強い噛みしめによってあごの関節にも痛みが出てきます。このような場合には、歯科医に相談しましょう。歯を保護する装置を入れて眠ると楽になる場合があります。また精神的なストレス解消にも心がける必要があります。 - Q:歯肉炎の予防には,どんな点に注意したらよいでしょうか
- A:歯肉炎の原因はプラーク(歯垢)です。プラーク中の細菌が出すさまざまな物質によって歯肉に炎症を起こし.赤くはれたものが歯肉炎です。また,歯肉炎の発生には,歯肉の抵抗力も大いに関係しています。したがって,歯肉炎の予防には次の4項目が大切です。
- 全身を健康に保つように努め,口の抵抗力をできるだけ高める。
- 歯肉の抵抗力を増すために,歯肉のマッサージを行ない血行を良くする。
- しっかり両方のあごで噛んで,プラークが歯につきにくい繊維性の食べ物などを摂り,偏食をしない規則正しい食生活を実行する。
- 口の中を清潔に保ち,プラークを徹底的に除去するために,歯列にあった歯みがき法を身につけ効果的に行う。
- Q:食事中,必ず飲み物をとる子への指導はどのようにしたらよいですか
- A:食事中,飲み物をとることは,流し食いでしっかり噛んでいないので,当然胃腸に負担をかけることになります。食事も短時間で終了してしまいます。そこで,次の5項目を心掛けてほしいと思います。
- 食事時間は,十分とって下さい。
- 両方のあごでしっかり噛んで下さい。
- しっかり噛むことによって,唾液の分泌がよくなり,流し食いの必要がなくなります。
- しっかり噛まないと喉を通らない食べ物を多くとることも必要です。
- どうしても飲み物をとりたい時は,口の中の食べ物を完全に飲み込んでから,少しとるようにして下さい。
- Q:閉鎖型の乳歯列の子どもに歯ごたえのある食べ物を食べることの効果は
- A:閉鎖型の乳歯列は,将来永久歯列が乱ぐい状態になることを暗示しています。乳歯列の発育空隙は4~5歳からから広くなりますから,乳歯の噛み合せの完成する3歳頃から歯ごたえのある食へ物を取り入れた食生活が大切です。
- Q:中学生に対してよく噛むことの大切さの指導の効果は
- A:顔やあごの思春期の成長のピークは男子では12~14歳の間,また女子では10~13歳の間にみられるといわれています。これはちょうど中学生の時期にあたります。第二大臼歯が萌出して永久歯の咬合が完成する12歳頃は生徒達の健全なあごや,歯の成長のためによく噛むことの大切さの指導が必要な時期でもあります。よく噛むことが、あごや歯の成長に必要であるということだけでなく大人になっても健康保持の点でも大切であることを指導する必要があります。中学生に対しては次の8項目に重点をおいて指導していただくのがよいでしょう。
- “肥満防止になります”特に植物性繊椎をよく噛んで食べる習慣を身につけましょう。若年化している成人病,特に大腸ガンを予防し,またコレステロールの上昇を防ぎます。
- “味覚が発達します”よく噛むと唾液の分泌が高まり,アミラーゼなどの消化酵素がデンプンをグルコースに分解します。このためによく噛むと消化が高まり,食欲が増し,食事が美味しくなります。
- “発音が良くなります”よく噛むと舌や口唇の筋機能が調和して発達します。また外国語を学ぶ上でも大切な舌や口唇の微妙な動きが習得しやすくなります。
- ”気力が高まります”よく噛むと脳の血液の循環がよくなり,脳の活動が活発になり,記憶力や集中力が高まるといわれています。
- “歯の病気の予防になります”よく噛むと自浄作用によって歯がきれいになり,むし歯を予防します。また歯を支えている組織を活発にして歯周病になりにくくなります。
- “ガンの予防になります”唾液には食物中に含まれている発ガン物質を不活性化させる成分が含まれています。よく噛んで,食べ物を唾液と十分混ぜ合わせてから飲み込むことが成人病の予防になるといわれています
- “食欲が増進します”よく噛むと消化が高まり,胃腸の調子も活発となり食欲が増します。その結果全身の体調もよくなります。
- ”精神的な安定が得られます”よく噛んで味わうことは食生活を楽しいものにし、満足感や幸福感を与えます。これが勉強をしたりスポーツをする時の活力や集中力になります。
- Q:歯ぎしりの治療について
- A:精神的なストレスが睡眠中に高まると歯ぎしりがおこると言われています。歯ぎしりの行なわれている時には咀しゃく筋が日常噛んで食事をしている時より,ずっと大きく収縮して強い力を出します。このため長期にわたって歯ぎしりが続くと上下の歯がすりへって平らになってきます。また異常に強い噛みしめによってあごの関節にも痛みが出てくることがあります。このような場合には,歯科医に相談しましょう。歯を保護する装置を入れて眠ると楽になる場合があります。また精神的なストレス解消にも心がける必要があります。
- Q:高校生に対して、よく噛むことの大切さの指導の効果は
- A:高校生男子では思春期の成長がまだ続いており、特に下顎が大きく成長します。一方女子では中学生の時に成長がほぼ完了するといわれています。男子にとってこの時の成長が、たくましい男性的な顎を完成させる、大切な時期でもあります。最近の高校生は、軟らかい食事で育てられているため、たくましい顎には発達しません。この時期に急に硬い食事を強制すると、顎関節を痛める危険もあります。高校生では、よく噛むことについては、成長に関することよりむしろ、成人期への漸進的、精神的な健康管理上の重要性について指導の重点をおくのが良いでしょう。次の8項目を参考にして下さい。
- ”肥満防止になります”特に植物性繊維をよく噛んで食べる習慣を身につけましょう。若年化している成人病、特に大腸ガンを予防し、またコレステロールの上昇を防ぎます。
- “味覚が発達します”よく噛むと唾液の分泌が高まり、アミラーゼなどの消化酵素がデンプンをグルコースに分解します。このためによく噛むと消化が高まり、食欲が増し、食事が美味しくなります。
- “発音が良くなります”よく噛むと舌や口唇の筋機能が調和して発達します。また外国語を学ぶ上でも大切な舌や口唇の微妙な動きが習得しやすくなります。
- “気力が高まります”よく噛むと脳の血液の循環が良くなり、脳の活動が活発になり、記憶力や集中力が高まるといわれています。
- “歯の病気の予防になります”よく噛むと自浄作用によって歯がきれいになり、むし歯を予防します。また歯を支えている組織を活発にして歯周病になりにくくなります。
- “ガンの予防になります”唾液には食物中に含まれている発ガン物質を不活性化させる成分が含まれています。よく噛んで、食べ物を唾液と十分混ぜ合わせてから飲み込むことが成人病の予防になるといわれています。
- “食欲が増進します”よく噛むと消化が高まり、胃腸の調子も活発となり食欲が増します。その結果全身の体調も良くなります。
- ”精神的な安定が得られます”よく噛んで味わうことは食生活を楽しいものにし、満足感や幸福感を与えます。これが勉強をしたりスポーツをする時の活力や集中力になります。
- Q:どの様な食事が歯やあごにとって良いのでしょうか
- A:軟らかく、滑らかで、栄養素濃度の高い現代の食品にだけ偏らず、硬く、粗く、繊椎質に富む、栄養素濃度の低い原材料型の食事の良さを再認識して下さい。
しかし、すでに軟らかい食事で成長してきた子どもたちの顎は弱々しく、無理をして固い物を噛もうとすると顎関節を痛める危険性があります。このような子どもたちに対する指導は、野菜などを例にとって、繊維質の多いセロリ、ニンジン、キャベツなど生で食べられる ”噛みごたえ”のある食物の良さを教えていただきたいと思います。良く噛んでそして飲み込むという訓練を通して、本当に硬い食品を噛めるための第1歩を考え、根気良く鍛えていくことが大切です。表は一口量の食品がどの位の筋肉の力を必要かを電気的に示したものです。第1群、第2群のような単に飲み込んで食べる食品と、第6群、第7群のようによく噛まないと食べられない食品を比較すると顎の筋肉の活動が50~100倍もちがいます。  食品 筋電位積分値(μV秒)   食品 筋電位積分値(μV秒 第1群 牛乳 416.7 第5群 白ごはん 11166.7 第2群 とうふ 937.5 金ぴら 12854.2 プリン 1250.0 いかさし 12895.8 第3群 みそ汁 3750.0 たくあん 13062.5 マシュマロ 5187.5 りんご 15562.5 目玉焼き 5895.8       シチュー 6479.2 第6群 食パン 21458.3 第4群 スパゲッティ 7895.8 硬い豆 22104.2 さつま芋 8145.8 第7群 牛ステーキ 36354.2 えぴせん 8458.3     レタス 9395.8 するめ 44187.5 ハンバーグ 9437.5     - Q:指しゃぶりの悪影響と、やめさせ方について教えて下さい
- A:-指しゃぶりは家族の理解が必要です-
赤ちゃんは本能的に授乳動作を身につけています。この母乳を飲む動作は、栄養の補給のためだけでなく、赤ちゃんが幸福感や安心感を感じとるための経験としてきわめて大切なものです。乳幼児の口腔は感覚器官として、生まれた時から良く発達しています。人工乳では母親の暖かさと、感覚的な満足感を感じとることがむずかしいとされています。このような環境で育てられた子どもに指しゃぶりが長期にわたってみられることがあります。指しゃぶりは3歳までは歯列に対しての影響は少ないとされています。しかし4~5歳まで続くと、舌や口唇の活動が正常にもどることができなくなります。そのため指しゃぶりを止めても異常な筋機能が残り、あとから萌出してくる永久歯に歯列不正が生じます。上顎の前歯が前に押し出され、上顎前突になったり、上下の前歯が噛み合わさらない開咬という歯列不正になります。このような歯列不正は、正しい発音や嚥下動作の獲得を阻害することになります。3歳を過ぎても強度の指しゃぶりが見られる場合には、家族の暖かい環境のもとで、その年齢にあった、より高度の外向的活動に目を向けることによって指しゃぶりを中止させる努力が必要です。強度の指しゃぶりが長期間にわたって行われ、永久歯列への影響が明らかになった場合には、歯科医による矯正装置を装着して強制的に中止させる方法にたよることもあります。 - Q:短時間に食事を済ませる子への指導はどのようにしたらよいでしょうか
- A:よく噛まないですぐ飲み込んでしまう子どもたちが増加していることが指摘されています。このような子どもに対する指導はまずその子が背景に抱えている食行動、親子関係、パーソナリティーなどの問題点を探し出して下さい。それらの問題点に対応する働き掛けを年齢的配慮を加えて、効果度と実践のしやすさから選んで実行して下さい。ただし、焦らず、ゆっくり、食べる楽しみを子どもから奪うことのないよう配慮するゆとりを忘れないでいたいものです。
- Q:いつも、片方の顎で噛んでいると、顎の発達への影響はどうでしょうか
- A:むし歯や、歯を失った部位では食物を十分噛むことがでさません。このような場合、よく噛める咬み合わせの場所が限られ、その部位だけを頼りに長期にわたり噛む動作が行われることになります。成長期の子どもが長期にわたり片方の顎だけで噛んだ場合には、顔や顎の成長に影響を与えることが考えられます。まず、顔や顎が非対称に成長する可能性があります。噛む側は筋肉や骨は発達し、噛まない方はやせてきます。また顎の関節にかかる力もバランスがとれないため、顎関節症の症状があらわれる場合も考えられます。
- Q:思春期性の歯肉炎について教えて下さい。
- A:思春期は、体のホルモンのバランスが不安定になり(特に女子)、それに伴い歯肉が腫れたり、出血しやすくなります。主に、そのような時期に口の中が不潔になると歯肉炎が出現しやすくなります。そのまま放置しておくと悪化し進行する場合がありますので、軟らかめの歯ブラシでブラッシングを続ける必要があります。
- Q:妊娠中は歯肉が腫れやすいということはあるのでしょうか。
- A:妊娠2ヵ月から3ヵ月にかけて歯肉の辺縁部が赤くなり、歯肉から出血しやすくなることがあります。これはもともとあった歯肉炎が妊娠という全身的状態によって、増悪したもので妊娠性歯肉炎と呼ばれます。歯肉の腫れは妊娠8ヵ月ぐらいまでひどくなり、妊娠9ヵ月から分娩後は軽くなります。歯肉の腫れがひどい時期は性ホルモンの分泌が著しいときに一致します。妊娠前からの口腔清掃による予防が大切ですが、腫れの状態によっては他の疾患との鑑別が必要ですので歯科医への受診が必要と思われます。
- Q:最近、学校健診にて歯石沈着のある生徒が増加しています。予防法を教えて下さい。
- A:歯石沈着の多い場所は、ブラッシングの不良な所にみられますが特に唾液腺の開口部または、プラークの停滞しやすい所に多く見られます。部位別には、下顎前歯部の裏側、上下顎臼歯の奥側、および頬側などに多く見られます。また、歯列不正部位などにも多く見られます。その予防法は、徹底したブラッシングです。部位、歯列に合わせたブラッシング法を考える必要があり、磨きずらい場所は、補助的にフロス、歯間ブラシ等を利用すると効果約です。
- Q:口呼吸の原因と治療法を教えてください。
- A:呼吸は普通、鼻腔を通して行われますが、鼻腔内の炎症やアデノイド肥大、扁桃腺肥大などによって鼻呼吸が妨げられると、その代償として口腔を介して呼吸を行うようになります。これか口呼吸です。口呼吸が長期にわたり行われると、上顎前突や開咬の不正咬合の原因となります。また、前歯部歯肉か乾燥して、歯肉の炎症が起こりやすくなります。治療法として、口呼吸の原因に基づいて歯科と耳鼻科の治療に分けられます。歯科的治療としては、口唇開鎖の困難を改善するための矯正治療や、オーラルスクリーンやメディカルテープの使用による口腔内への空気の流入の防止を計ります。また、弛緩した口輪筋の賦活(筋機能療法)が有効と考えられます。耳鼻科的治療が必要なときにはアデノイド肥大や扁桃腺肥大の処置を専門医に依頼します。
- Q:小学生の歯肉炎はどのように予防したら良いのでしょうか?
- A:もし歯肉炎を見つけたら、多くの場合、その原因となる歯垢や食物の残りを取り除いてあげれば、自然に治ってきます。そのためにまず、よく歯ブラシや糸ヨウジで磨くことが肝心です。
しかし、腫れている歯肉を強くこすると出血しますし、子供は痛くて嫌がることになります。ですからはじめは、やわらかめの歯ブラシで少しずつ磨いてください。また、炎症かひどい場合、うがい薬などを綿棒につけて歯肉につけるのも効果的です。いずれの場合も炎症が治まり腫れがひいてきたらしっかり磨きましょう。
なかなか治りにくい場合や、腫れや出血がひどく、痛みが強いときは、歯科医院で診てもらい、適切な治療を受けるようにしましょう。
歯肉炎を予防するには、やはり歯みがきが一番だとおもいます。つねに口の中を清潔に保つことで、歯肉炎の原因となる歯垢や食物の残りがなくなり、むし歯の発生も防ぐことができます。あわせて、食べ物の好き嫌いをなくし、バランスのとれた食事と規則正しい生活をすることが健康な歯肉を育てます。
いずれにせよ、歯肉炎になりやすい子供たちは歯科疾患に対する危機感や意識が低い場合が多く、おやつや食事、生活習慣の見直しなどについて保護者の理解と協力が必要です。
食事について
- Q:ガムに含まれる糖分について教えて下さい
- A:チューインガムには板状のもので1枚3g中に2.3g,風船ガムで1個7g中に5.1gの糖質が含まれています。これはキャラメル1個5g中の糖質3.8gと比べても遜色はありません。チューインガムの方がキャラメルよりう蝕誘発性が高いという報告もあります。それはチューインガムがロの中で長時間歯に接触しているためと考えられます。したがって子どもが1箱を一度に,あるいは習慣的に毎日噛むことには問題があると思われます。
- Q:最近キシリトールという甘味料の名前をよく耳にしますが、どういうものですか
- A:キシリトールはイチゴやほうれん草などの野菜や果物に含まれている5単糖アルコールです。平成9年4月17日に食品添加物として厚生省より認可されたことによって、現在ガムや錠剤の形でキシリトールを28%から100%含有したものが市販されています。キシリトールはミュータンス菌等の口腔内細菌により発酵を受けないので酸が生成されず、また酸性度が低下したプラークはブラッシングによって落ちやすくなり、その結果として実験室的には約50%のプラーク形成が抑制されます。キシリトールの甘味度は砂糖と同等でカロリーは25%減の2.8Kcal/gです。臨床試験はまだ少ないのですが、他のプラークコントロールの方法との併用、及び歯科治療との併用で効果があったとする報告(JDent Res69(11),1990など)があります。
- Q:バラチノース入りの菓子ではむし歯になりますか
- A:バラチノースは砂糖にある種の酵素を作用させて製造された低う蝕性の代用糖です。そしてミュータンス菌などによって、バラチノースから酸を産生することもなく、また歯垢も形成しないということが、ラットを使用したう蝕誘発試験で証明されています。従ってバラチノースだけが甘味料として使われている製品は、むし歯になりにくいと考えられます。ただバラチノースと砂糖が両方使われている製品も多いので、その場合はむし歯予防に留意する必要があります。
- Q:離乳期に能力以上に硬い食べ物を与えていると、その時点から咀嚼能力がストップすることがあるという点について教えて下さい
- A:離乳期は噛んで食べる能力(咀嚼能力)と飲み込む能力(嚥下能力)を学習して覚える期間です。この時期では食物はすべて学習の”教材”となり、食事をとることが未熟な子どもが”生徒”、食べ物という教材を使って咀嚼や嚥下を教える母親や養育者が“先生”です。ですから子どもの咀嚼能力以上に硬い食べ物を与えることは、難しすぎる教材で学習することになり、子どもによっては咀嚼能力が、その時点より発達しない噛めない子になることがあります。子どもの能力にあわせた調理形態の食べ物を与えるという順を追った学習が必要です。
- Q:キシリトールはどのくらいの時間かむのがいいのでしょうか。またブラッシングの前と後ではどちらにかんだほうが効果的ですか。
- A:キシリトールは平成9年4月に食品添加物として厚生省より認可され、現在そのむし歯予防効果から広く普及してきています。キシリトールはガムやタブレット(錠剤)の形で提供されていますが、効果的に使用するにはガムは味がなくなるまでかむ(5分程度)、タブレット型はかまずになるべく長い時間なめることに気をつけるとよいでしょう。また飲食後すぐに使用するのが原則です。その意味から飲食後すぐにブラッシングする場合は、ブラッシングその前か後、飲食後しばらくしてでないとブラッシングできない場合はブラッシング前に使用することになります。従ってブラッシングの前と後での効果の差はあまりないので、飲食後すぐに摂ることに注意してください。
- Q:キシリトールは何から出来ているのですか。また摂りすぎると腹痛等をおこしますか。
- A:キシリトールは自然界に存在する天然の5単糖アルコールで、ほうれん草やイチゴなど多くの野菜や果物に含まれています。ソルビトールやマンニトールなどの単糖類アルコールとともにキシリトールも30年ほど前からむし歯の抑制効果についての研究が行われてきましたが、フィンランドを中心に1970年代に実用化され、1980年代に商品化されました。キシリトールはミュータンス菌により発酵を受けないので酸が生成されず、その結果としてむし歯の発生を抑制します。キシリトールは現在シラカバなどの広葉樹、トウモロコシから生産されていますが、一番安全な食品の中に入っており、普通に食べる量では何の副作用もありませんが、かなり多量に摂った場合下痢を起こすこともあります。この場合そのまま摂っていると下痢をしなくなりますが、むし歯予防に効果的な量は1日5gから10g程度ですので、それ以上摂っても意味がないと思います。
- Q:キシリトール先進国のフィンランドでは、キシリトールはどのように使用されているのでしょうか。
- A:フィンランドにおいては歯科医師会や行政の指導によって、キシリトールがむし歯予防に効果があると言うことは、誰でも知っています。そしてガム、キャンディ、チョコレートなど、日常習慣的に摂取される様々な菓子類に甘味料として使われています。特にガムにおいては90%以上の製品にキシリトールか使用されていますし、歯科医師会の推薦基準を満たしたものにはそのことが表示されています。フィンランドにおいてはフッ化物の錠剤が広く普及していますが、これにもキシリトールが添加されたものが市販されています。また歯磨剤や洗口剤にも、フッ化物と共にキシリトールが添加されているものが販売されています。このようにキシリトールは従来の子防法に取って代わるものではなく、付加的な効果をもたらすことを目的に用いられていると言えます。フィンランドには昼食後に全員でキシリトールガムを咬む学校もあるそうです。